


Hunger Ren 展
2025.10.25 sat - 10.29 wed
13:00~17:00
―今回の展示のテーマは何ですか?
今回の展示では、特に「お茶」に関係した染色作品を用意しました。緑茶染め、白茶染め、紅茶染め、プーアル茶染めをそれぞれ試してみましたが、白茶と紅茶は色の差があまりはっきり出なかったため、少量の試作にとどめました。最終的な作品の茶染め技法は、主に緑茶染めとプーアル茶染めが中心で、それらには鉄媒染も試みました。ですので、今回の展示のテーマはまさに「お茶」にフォーカスしていると言えると思います。
―仰る通り様々な表情の茶染作品が揃っていますね。今回茶染めに取り組まれた感想を教えてください。
これまでにもプーアル茶染めは試したことがあって、その色味がとても好きでした。知的で落ち着いた印象があって。でも今回は展示のために、もっと多くのお茶で、より体系的に染色を試す機会を得られて、そこから違いを観察できたのがとても面白かったです。茶染めの色はどれも控えめで上品な感じがあり、それはお茶そのものの印象とも一致しています。お茶を使って染めた作品を、お茶の空間で展示するというのは、本当に素敵な試みだと思います。
―パッチワークのベストについて:これは様々なお茶で染めた布を使ったベストですが、なぜパッチワークの形式を採用されたのですか?何か背景があれば教えてください。
今回、いろいろな種類のお茶で染色を試みたのですが、そのためにたくさんの実験用の布ができました。ある日、作業台の上に広げていたそれらを見て、ふと「これを一つの作品にしてみたい」と思ったんです。色はそれぞれ違うけれど、すべてお茶で染めた布なので、不思議と調和が取れていて、ひとつにまとめても違和感がないんです。パッチワークにすることで手仕事の雰囲気が加わりつつも、お茶の持つ上品さはちゃんと残っていて、とても良い仕上がりになったと思います。
―Hungerさんの作品は、着ていると心地よく体になじんでくる感触が魅力です。たとえば柞蚕(さくさん)シルクのような素材について、素材選びのこだわりはありますか?また、古布を選ぶ際に重視する点があれば教えてください。
柞蚕シルクは私にとってとても面白い素材です。シルクでありながら、見た目はとても粗くて、初めて見る人は麻と勘違いするかもしれません。この「ギャップ」がとても好きです。古布を選ぶときにも、こうしたギャップのような感覚を大事にして、自分の心を動かす布を探します。素材そのものだったり、布の表面の質感だったり、色だったり…とにかく自分の感性に響くものだけを選ぶようにしています。
―今回送っていただいた作品の中には、柄のある布を使ったものもありました。特にあの柄入りジャケットは、裏地の模様も美しいです。なぜその布を選ばれたのですか?また、その背景を教えてください。
私は布を選ぶとき、すごく感覚的に選びます。あの布がとても好きで、香雲紗(染料は広東省の湖沼の泥と、薯莨という芋。薯莨の汁に浸けた布地(主に絹)を夏の強い太陽にさらして茶色く発色させ、さらに表に鉄分の強い泥を塗り黒く変色させるというもの)の中でも特に華やかで特別な存在感があると感じました。持ち帰ってからもしばらく温めていたのですが、ある時「この形ならぴったり合う」と感じるデザインが思い浮かび、そのときに初めて使いました。私は、どんな布にも最もふさわしい形があると思っていて、それを見つけるために日々試行錯誤しています。好きな布がぴったりの形に出会ったとき、その布は本当に特別な輝きを放ちます。








































